
リノベーションの仕上げ素材として使われるものに「タイル」があります。耐久性に優れデザインによっては個性的な空間を創り出してくれるタイルは、住まいの内装材や外装材として多く使われています。
一口に「タイル」といっても実はさまざまな種類があり、使う場所もそれぞれ異なります。
今回は、馴染み深い「タイル」について種類や特徴、素材を活かした使い方などをご紹介します。
タイルとは?
「タイル」の語源はラテン語であり「テグラ(tegula)」からきているといわれています。
物を覆うという意味を持つテグラ。屋根や壁、床などを覆う建物の仕上げ材として使われていることを考えると納得できます。
タイルは陶磁器製ですから、粘土などを主原料とし窯で焼かれて生成されます。いわゆる「焼き物」です。私たちが普段使う料理の器も「焼き物」ですから、タイルと器は基本的な素材感はよく似ています。
焼き方にもよりますが、耐水性があり丈夫で熱や火にも強いため、内装材はもちろん外壁材としても優れた素材といえるでしょう。また、色や形、表面の質感など自由自在にデザインできて豊富なバリエーションが魅力的ですね。
タイルの種類と特徴
タイルとひとくくりにしていますが、焼き方により主に「磁器質タイル」「せっき質タイル」「陶器質タイル」の3つに分けられます。それぞれの特徴をご紹介します。

磁器質タイル
磁器質タイルは、約1200度前後の温度で焼成されたもので、吸水率は3%以下となっています。
耐久性に優れ強度があることから、内装床はもちろん駐車スペースとなるような屋外の床にも使われることが多いタイルです。
せっき質タイル
せっき質タイルは、約1200度前後の温度で焼成されていますが、吸水性は10%以下と磁器質タイルよりもやや吸水性が低いです。そのため、雨の当たりにくい内装床や壁材などに使われることが多いでしょう。
陶器質タイル
陶器質タイルは、約1000度前後の温度で焼成されたもので、吸水率は50%以下です。耐水性としてはそれほど高くないため、バスルームなど水回り以外の場所に適しています。
施釉タイル
表面に釉薬(うわぐすり)が施されたタイルです。艶のある仕上がりで表面はガラス化した滑らかな肌触りが特徴です。
無釉タイル
表面に釉薬を施さずに、焼成した素地そのものの質感を活かしたタイルです。ざらざらした素朴な風合いが特徴的なタイルです。
タイルを活かすおすすめの使い方
タイルはその特徴により適した使い方があります。デザインも活かしながらどのように使うことがよいかポイントをご紹介します。

屋外床や外壁に適したタイル
ポーチ床や駐車スペースなど屋外の床に使うタイルは、耐久性とともに吸水率が少ない磁器質タイルが適しています。
吸水率が少ないということは、寒冷地では凍害を防ぐことにもなります。タイルが凍害になるとヒビや割れの原因になることや、タイル事態が剥がれてしまうこともありますので素材選びは大切です。
内装床や壁に適したタイル
リビングダイニング、エントランスなど室内床に使う場合は、磁器質やせっき質タイルがおすすめです。これらのタイルは壁面にも使えます。30㎝角のタイルから5㎝ほどの長方形のタイルなど大きさや形などバリエーションが豊富ですから、空間デザインを演出する楽しみがありますね。
キッチンに適したタイル

キッチンの作業台やレンジフードまわりなど、キッチンでタイルを使いたいと考えている方も多いでしょう。キッチンで使うときのポイントは強度や吸水性を使いわけることです。
たとえば、キッチンの床に使うタイルは強度に優れる磁器質タイルがおすすめです。なぜなら、食器を落としても割れるのはタイルではなく食器だからです。物を落としてしまう恐れがある場所でタイルの方が割れてしまったら、その度に修繕しなくてはならなくなってしまいます。そのため、タイルの方の強度を高めた方がよいという考えです。
また、キッチンの作業台では吸水性が50%以下の陶器質タイルが使われることも少なくありません。陶器質タイルは10㎝角などデザイン性のあるタイルが揃っていることも影響しています。デザイン的には適しているともいえるため、使う場合はシンク内部を避けてあくまで水はけのよい作業台のみに限定するのがおすすめです。
レンジフードまわりに使うタイルは、デザイン性も考慮しながら油はねなどのお手入がしやすいものがおすすめです。素地のタイルよりも施釉されているタイルの方が、ふき取りしやすく洗剤なども使えることが多いでしょう。
モザイクタイルについて
ひとつのタイルが2、3㎝角などの可愛らしいサイズのタイルを総称してモザイクタイルと呼ばれることが多いでしょう。四角に限らず、丸や三角、花びら模様などモザイクタイルはたくさんのデザインがあります。
素地を活かした素朴なものから、ガラス加工がしてあるキラキラしたものまで多種多様です。モザイクタイルのメリットのひとつは、小さいために湾曲した場所にも容易に施工できる点でしょう。トイレの手洗いボウルの壁面に、波型をつくったり、散りばめたり自由な形を描いて貼ることも可能です。
まとめ

今回は、住まいの仕上げ素材として好まれているタイルについて、種類や特徴、おすすめの使い方などをご紹介しました。
色や形、素材感などさまざまなバリエーションがあるタイル。ちょっとしたアクセント壁を演出するにも施工しやすいため、リノベーションにおすすめの素材です。とはいえ、屋外や屋内など場所に適したタイルを選択することが、あとから失敗しないポイントでもあります。
どんなタイルを選べばよいか、素材をよく知るプロに相談しながらデザインや特徴を活かした素敵な住空間を実現してみてはいかがでしょうか。