
雑誌やSNSなどで紹介されるお部屋の写真を眺めていて、「このリビングはセンスがいいな」「あの寝室は落ち着きそう」などと感じたことがある人は少なくないと思います。同じような色使いやテイストであってもなぜか「センスがいい」と感じる空間は、どんな部分に違いがあるのでしょうか。
今回は、センスよい住空間をつくりたいと考えている方に向けて、色使いのポイントや素材づかい、失敗しない住まいづくりのポイントをご紹介します。
空間に統一感を持たせる
雰囲気のある住空間は、全体を通して統一感のある仕上がりになっていることが多いですが、ポイントは「色使い」と「スタイル」です。
色使いを統一する
住空間の色使いで統一感を出すというのは、すべて同じ色で揃えるということではなく、木部の色を統一する、壁と天井に同じ色を使うなど同じ素材同士の色を統一させるということです。
スタイルによっては、床の色と建具の色を変えるという組み合わせの方が似合う場合もありますが、多彩な色使いをするほど、まとまりのある空間に仕上げるにはハードルが高くなりがちですから、基本は同色でまとまめるのがおすすめです。
スタイルを統一する

空間のスタイルを統一させるのは、大きなポイントのひとつです。モダン、ナチュラル、アンティークなど好みのスタイルを明確にして、全体として「この空間はこんなスタイルなんだ」とわかりやすいカタチになるのが理想です。
あれもこれもと欲張りすぎると、結果的に雑然とした印象になることもあるため、できるだけスタイルを統一しましょう。
細部にこだわる
「魂は細部に宿る」とよくいわれますが、なんとなく心地さを感じる空間は、細部にも気を配った繊細な仕上がりになっていることが多いです。
建具や巾木のデザインと色
住空間の中では、面積の大きな床や壁、天井などの仕上がりがクローズアップされますが、実は建具や巾木(床と壁の設置部分)など少ない面積の部分であってもデザインや色の使い方によって、全体の雰囲気に影響します。
特に建具はデザインによってスタイルをより強く表現する効果があるため、ドアハンドルなど金物部分をゴールドにするか、クロームにするか、アイアンにするかでもイメージが変わります。
巾木は色使いがポイントです。床と巾木を同じダークブラウンで統一すると落ち着いた雰囲気になりますし、床はダークブラウンで巾木を壁と同色のホワイト系にすると、スタイリッシュな雰囲気になります。細かい部分ですが、意外と印象が変わりやすいものです。
アクセントを取り入れる
統一感を出すことは、洗練された空間をつくりやすい反面、素材によっては「無難さ」を感じる場合もあります。そのため、どこかに素材や色でアクセントを取り入れるのがおすすめです。

レンガやタイルのアクセントウォール
レンガやタイルなど質感のある素材は、同色系の色であっても存在感があり、ほどよいアクセント効果が期待できます。エレガントにしたいのか、少し古びた雰囲気にしたいのか、イメージに合う素材を選択しましょう。
間接照明で陰影を
アクセントは照明を使って創り出すこともできます。壁や天井に間接照明を配置したり、フロアスタンドなどを取り入れたりすることで、奥行が感じられセンスのよい空間を印象付けてくれます。レンガやタイルなどのアクセントウォールと組み合わせるのもおすすめです。
失敗しない空間づくりは「引き算」と「足し算」のバランス
なんとなくオシャレな雰囲気を感じる空間は、「引き算」と「足し算」が絶妙なバランスで保たれていると考えられます。
好みのスタイルにもよりますが、たくさんのエッセンスを詰め込みすぎると、ひとつひとつは美しいもの、似合うものであっても、なぜがスマートさに欠けることがあります。「引き算」という考え方の方がセンスよく映る場合ですね。
一方で、重厚感を出したいときは、レンガや石材など重々しい素材をある程度のボリュームで使う方が似合います。こちらは「足し算」の方がよく映る場合です。どちらも偏りすぎるとバランスがとれないこともあるため、失敗しないためには、事前に何度も素材や色使いのシミュレーションをすることが大切です。また、雑誌やモデルハウスなどにたくさん触れて、イメージを擦り合わせるのもよいでしょう。
まとめ
今回は、センスよいと感じられる住空間のポイントについて、「統一感を出すこと」「細部にこだわること」「アクセントを取り入れること」などをご紹介しました。なんとなくのイメージは持っていても、自分たちが細かいところまでカタチを作っていくのは難しい場合もあるでしょう。このような場合は、空間づくりのプロに相談して、イメージを擦り合わせながらひとつひとつ解決しながら進めるのがおすすめです。
施主様側として大事なのは、伝えたいイメージに合致していない場合は遠慮せずに時間をかけて伝えることです。安易に妥協せず理想の住まいを計画していきましょう。