京都市東部、左京区一乗寺。のんびり走る叡山電鉄の音を聞きながらぶらりと歩くだけで、さまざまな出合いに心躍るまちです。居心地よさそうな昔ながらのお店や、新たに移住してきた人の新店も気になるところ。近くに芸術大学があり、アートに関心のある学生が多いのも、ゆったりとした一乗寺の空気の中に個性を感じる理由なのかもしれません。
そんな一乗寺に、レンタルスタジオ「linea studio」が2026年2月にオープンしました。展示やワークショップといったイベントを開催したり、撮影での利用も可能。ユニークな人やモノ、景色との出合いに触れながら、自由な表現を楽しめる場所です。


「一乗寺らしい」と言いたくなる、個性的なスポットがたくさん!
「linea studio」の周辺には魅力的なスポットがたくさんあります。一乗寺に行くなら絶対立ち寄りたいあの有名店も、自分だけが見つけたような隠れ家的な店も。さぁ散歩へ出かけましょう。行き帰りの楽しみや、合間の休憩に。テイクアウトしてスタジオでのおやつにもピッタリなスポットをご紹介します。
宝探しをするように、出合いを楽しもう
恵文社一乗寺店
レンガ造りの建物が見えたら、そこは一乗寺のシンボル的存在、恵文社一乗寺店。50年以上愛される“本屋さん”です。“本屋さん”としたのは、単なる書店ではないから。本と雑貨を取り揃える「生活館」、展示やイベントが行われる「ギャラリーアンフェール」、そしてレンタルスペースの3つのゾーンからなる、いわば文化の発信地。本のエリアに足を踏み入れると、棚やテーブルを本が埋め尽くしていますが、一般的な書店とはちょっと違った雰囲気も。出版社ごとや作家名順ではなく、テーマでまとめられて並んでいるのです。たとえば通称「乙女棚」には、乙女心ときめく内容や装丁の本がずらりといった具合。さまざまなジャンルの本を、スタッフが想いを込めて選書しているそう。どんなテーマに、そしてどんな本に出合えるのか――。宝探しのような時間が、きっと新しい世界の扉を開いてくれます。


“出来立て”“主役は果物”。
美味しい瞬間を逃さないで
Le temps du gout(ル タン ドゥ グー)
大きな窓を彩る緑が爽やかな店内に、テーブル席とカウンター。Le temps du gout(ル タン ドゥ グー)は、フランス菓子を中心としたパティスリー&カフェです。素材にこだわった焼き菓子のほか、“出来立て”にこだわった皿盛り(アシェットデセール)が評判を呼んでいます。「主役はあくまでもフルーツ」と、クレープなどに使うソースやクリームも果物優先。お皿の上に季節が広がるような、美しいデザートを味わうことができます。さらにもう一品、ぜひ食べてほしいのがイートインのシュークリーム。焼いたシュー皮を、オーダーが入ってからもう一度焼き、クリームを詰めてテーブルへ。一口食べた瞬間に、サクッと軽いシュー皮の食感の虜になってしまいます。クリームはカスタードクリームのみと、カスタードにほろ苦く大人な味わいのキャラメルを加えたものの2種類。“出来立て”の美味しさは、瞬間で感じるもの。心して召し上がれ。


猫のように気ままに立ち寄って、自由に寛いで
BASTET COFFEE
おしゃれな黒猫のイラストがお店の顔。猫の気ままさに憧れる、猫好き夫婦が営むコーヒーショップです。「猫は塀を平気で飛び越えていくほど身軽。そんなふうにふらっと気軽に立ち寄ってもらえる場所でありたい」と店主の加藤基揮さん。アンティークの棚と鉄製のテーブルを並べてカウンターにしたり、色を塗り直すことなく改装前の天井をそのまま使ったり。あまり作り込んでいない、そんなラフさも居心地の良い空間の秘密です。提供するコーヒーは20〜25種類ほどで、すべて浅煎り。「浅煎りのおいしさは、酸味に加え、味わいに深みがあり、後から甘さが上書きされていくような軽やかさがあるんです」。コーヒーをピッチャーで提供しているのも特徴の一つ。小さなカップに注ぎながら、丁寧に味わえば、ふっと肩の力が抜けていきそう。


時間の経過や手仕事の温もりを実感
マヤルカ古書店
扉を開けると目の前の棚にぎっしりと本、本、本……。店主のなかむらあきこさんは2013年に西陣で書店を開店し、その後、2017年に一乗寺に移転。近代文学、海外文学、詩集、民俗学、アートブックなど、さまざまなジャンルの古書を取り揃えています。地元客の持ち込みや、なかむらさんが自宅へ伺って買い取るのが主な仕入れ方法。こうして手から手へ、本のバトンがつながっています。「本を手に取ると、美しい装丁にときめいたり、古本ならではの紙の風合いや色の変化にときの流れを感じます」となかむらさん。最近のブームは郷土玩具や民藝関連だそう。本のほか、棚にはたくさんのこけしも。手仕事の愛おしさや受け継がれることの貴さを感じることができます。


体が喜ぶご飯をちゃんと味わいたいときに!
つばめ
同級生の小島あかりさんと中村れいらさんの2人が、約20年営むカフェ。白い壁に緑のシェード、そして紫色のつばめが描かれた看板が目印です。店内はたくさんの窓からやさしい光が差し込んで、店主の二人のような朗らかな空気に満ちています。旬の野菜や無添加の調味料などを用いて〝体が喜ぶ〟定食をつくるのが、つばめのポリシーです。基本のメニューは、日替わり定食とチキンカレーの2種類。取材日の日替わり定食は「揚豆腐と鶏そぼろのサラダ」。低温でじっくりと揚げてカリっとした食感を出した豆腐と、ほろほろの鶏そぼろと揚げたレンコンをご一緒に。メイン以外に、副菜一品、胚芽米、味噌汁、漬物もセットになって満足感もしっかり。お昼にも、晩御飯にも。「ちゃんとしたごはんが食べたい!」というときの強い味方になってくれるお店です。食後には、出町柳のKAFE工船の中深煎りの豆を使ったコーヒーをどうぞ。コクがあるのにさらりとした飲み心地で、気持ちがすっきり整います。


日本人に合うように、でもタイ料理のうまみをしっかりと
AOW
東南アジアを旅していたとき立ち寄ったタイで、現地の料理を学んだヒロさん。もともとお酒が好きで、タイ料理とお酒を楽しめるお店をとはじめたのが、このAOW。辛味の強いイメージのタイ料理‥‥‥ですが、味付けは日本人に合うようにアレンジ。本場の味より少し唐辛子を控えめにしてマイルドに仕上げているのでご安心を。出汁にもこだわり、すべて自家製。鶏や豚のうまみを抽出しているとのこと。ガパオライスは、鶏ひき肉をタイの5種類の醤油で煮てから炒めることで味がしみ込み、やや甘みのある味わいを楽しめる自信作です。「タイ料理にはビールやウイスキー、タイ産のワインが合う」と、ヒロさん。異国情緒たっぷりの味で気分転換をすれば、新しいアイデアが生まれるかも!


穏やかな夕方を過ごせる、大人な喫茶店
蒼然
2024年5月にオープンした蒼然。店名の由来は、店主・中島桃子さんが前に働いていた喫茶店の名前から「蒼」の一字を。そして「然」は、「蒼」に合う言葉をと考えていたとき出合った、夕焼けから夜に変わっていく様子を表す「暮色蒼然」という言葉から一字組み合わせました。夕暮れ時の柔らかな空気が満ちる、そんな優しい雰囲気の店にしたいとの想いが込められています。町家を改装したシンプルな内装に溶け込む木の壁や天井。明るさを抑えた空間に、アンティーク家具が温もりを添えています。ショーケースには、季節限定をあわせると焼き菓子が20種ほど。スパイスを利かせ、隠し味にココナツを忍ばせたキャロットケーキは人気の定番商品です。ドリンクはコーヒーをメインに中深煎りと浅煎り、デカフェの3種類をセレクト。そのほか、紅茶やチャイもおすすめ。器好きの店主が集める一点もののカップでいただけば、味わいがぐっと増しそう。


ぶらりと歩けば、思いがけない出合いが待っている一乗寺。のびのびとしたまちの空気に触れて、「linea studio」で自由でユニークな表現を楽しんでみませんか。
