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KYOTO暮らしの風景スポット紹介

5つの石が見守る庭園で心静かなひとときを

山科駅から北へ徒歩10分ほど。振り返ると山科の街並みが広がる高台に、安祥寺は位置しています。創建は848(嘉祥元年)年で、1200年の歴史を有する由緒ある寺院です。現在、住職を務める藤田瞬央(ふじたしゅんおう)さんが近年新たに始めたのが特別公開。2020年から月に数日、一般の人も境内に入ることができるようになりました。

そのきっかけとなったのが、ご本尊である「木造五智如来坐像」が2019年に国宝に指定されたこと。木造五智如来坐像はもともと境内にあった多宝塔に安置されていました。しかし、明治時代に火災により多宝塔が焼失。五智如来坐像は当時、京都国立博物館に寄託していたため、奇跡的に難を免れました。以来、京都国立博物館に保管されています。

「木造五智如来坐像が見守るこの場所を広く知っていただき、後世まで大切につないでいきたいと思いました」と藤田さん。2019年から境内の整備をスタート。2024年に木造五智如来坐像をイメージした「五智遍明庭(ごちへんみょうてい)」が完成しました。枯山水の庭に配置された五智如来に見立てた5つの石が、安祥寺を見守るかのようにどっしりと構えています。

「五智遍明庭には、仏様がこの世のすべてに分け隔てなく光を与えてくれるという願いが込められているんです。拝観に来られた際は、庭園を眺めながら鳥のさえずりや木々の葉が風に揺れる音に耳を傾けてください」と藤田さんは微笑みます。

拝観でパワーをもらったあとは、公開日に合わせてオープンしているテイクアウトのお店「寺菓房せむい」へ。米粉を使ったシフォンケーキや、サクサクのパイ生地が特徴のカスタードパイといった、体にやさしい素材でつくられたこだわりのお菓子が並びます。

長く紡いできた歴史に、一般公開やお店のオープンといった新しいページを開いた安祥寺。五智如来に見守られる境内で、静かなときを過ごしてみませんか。

■安祥寺
京都府京都市山科区御陵平林町22
TEL.075-581-0853
安祥寺の公開日はHPを、寺菓房せむいの営業日はインスタグラムをチェックしてください。
公式サイト