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暮らしのヒント

京都KYOTOスポット紹介

貴重な襖絵や美しい自然と出合える寺院
年のはじめの開運祈願にも

山科駅から歩くこと約20分。住宅街を抜けた山際に見えてくるのが「毘沙門堂」です。長い石段を登った先に仁王門があり、真っ赤な大提灯と阿吽像が参拝者を出迎えてくれます。

毘沙門堂は徳川家とゆかりが深い寺院です。そもそもの創建は大宝3(703)年。当初は京都御所の北方、出雲路橋近くに位置していましたが、都にふりかかる戦乱の影響により各地を転々とし、今の場所にたどり着いたのは、寛文5(1665)年のこと。再建に関わったのが、徳川家康・秀忠・家光と三代に渡って仕えた天海大僧正の弟子、公海大僧正でした。この再建が日光東照宮の建立と同時期であることから、共通の金具や装飾があしらわれているともいわれています。

毘沙門堂は自然豊かな山裾にあり、美しい自然と貴重な文化財に出合うことができる寺院です。宸殿には、江戸時代、幕府御用達の絵師であった狩野探幽の養子、狩野益信の筆と言われる貴重な襖絵が残されています。なかでもどの角度から見ても鑑賞者が中心になる「逆遠近法」で描かれた作品は「動く襖絵」とも呼ばれる珍しいもの。時代を超えて観る人を魅了し続けています。

さらに面白いエピソードがあるのが、「いけずの間」「合わずの間」とも呼ばれる「梅の間」。襖には木と鳥が描かれていますが、梅にはうぐいす、竹にはすずめを描くのが通常の組み合わせであるところ、梅にはヤマドリ、竹にはシマヒヨドリが描かれていて、「鳥が合わない」➡「とりあわない」という意味を表しているそう。つまり、この部屋に案内された人は面会できなかったのです。はっきりと断られず待ちぼうけ……確かにいけず、ですね。

さまざまな見どころがある毘沙門堂。モミジのトンネルが続く紅葉や、30mもの枝ぶりが見事な桜の名所として知られていますが、新しい年の始まりにもぜひ訪れたい寺院です。

毘沙門堂のご本尊はインドでは財宝の神様である毘沙門天。日本では七福神の一人、多聞天としても親しまれている神様です。その勇ましい姿から、勝負運、商売繁盛、金運といったご利益で知られています。新しい年の開運祈願に、訪れてみませんか。

■毘沙門堂
京都市山科区安朱稲荷山町18
TEL.075-581-0328
拝観時間
通常(3月〜11月) 9:00〜17:00
冬季(12月〜2月) 9:00〜16:30
公式サイト