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暮らしのヒント

京都KYOTOスポット紹介

毎日でも食べたい!
いつもそばにある“まちのパン屋さん”

京都・島原に店を構えるベーカリー「樋口金松堂(ひぐちきんしょうどう)」。訪れる人を最初に出迎えるのは、店の前にある「パン屋のおじさん」人形。コック服を着てパンを抱えて、「今日もおいしいよ!」と言わんばかりです。

同店は、昭和7年にこの場所で欧風菓子の製造と卸販売からスタート。現在は3代目の樋口由紀雄さんが受け継ぎ、焼き菓子だけでなくパンやケーキも揃う “まちのパン屋さん”として島原で愛されています。使い込まれた木の棚やケースにパンが並び、奥に目をやると、レトロな雰囲気のカウンターも。そんな佇まいも、同店がこのまちで歩んできた歴史を感じさせます。

「地域の店として気軽に来れて安らげる場所でありたい」と話す樋口さん。朝食に、おやつにと近所の小さな子どもからお年寄りまで幅広い世代の人が足を運びます。「小さなお子さんが“はじめてのお遣い”としてこの店に来てくれたんです。ご両親からも安心できる場所だと思ってもらえているような気がして、うれしかったです」

同店のお菓子は、樋口さんの祖父、初代・金次郎さんの味を受け継いだもの。「祖父の手書きのレシピは残っているのですが、読めなくて(笑)。2代目である父が祖父から実際に作り方を教えてもらったときの感覚を頼りに再現しています」と樋口さん。

「みそ松葉」や「蛇の目(じゃのめ)」は、初代の頃から販売しているお菓子。どちらも小麦粉や砂糖、卵といったシンプルな素材をベースにアレンジを加えたもので、みそ松葉は香ばしい味噌の香りが特徴です。ざらめがまぶされている蛇の目は、サクサクとした食感にレーズンの甘みがアクセントになっています。2代目・金三郎さんの代からはパンとケーキの製造、そして店での販売を行うように。金三郎さんが作り始めた「マドレーヌ」も、今も多くの人に愛される、店の看板商品です。

毎日食べたくなるパンやお菓子を目指し、受け継いだレシピにときにはひと手間加えて、自分の味を作りだしている樋口さん。サンドイッチに挟んでいたチーズを、焼いて煎餅のようにしてトッピングした「ハムクロワッサン」も、チーズの香ばしさや食感を楽しめると好評です。

「特別というより、空気のような存在でありたい」と樋口さんは言います。いつも変わらず、さりげなくそばにいてくれるような安心感。あなたの日常にもそっと寄り添ってくれるに違いありません。

■樋口金松堂

京都市下京区大宮一丁目562
営業時間:7:00-19:00
店休日:日曜
TEL:075-351-1034
公式サイト