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京菓子の文化を現代に伝える老舗和菓子店

北野天満宮や上七軒など、歴史や文化の香りがあふれる西陣。そんなまちで暮らしていると、何気ない日常に京都ならではの出合いがあります。今回は花街に佇む老舗和菓子店をご紹介します。

北野天満宮からほど近い場所にある上七軒。室町時代から始まったとされる歴史ある花街です。石畳の通りの両脇には風情ある町家が並んでいます。

そんな上七軒に店を構えるのが、明治41(1908)年に創業した老舗和菓子店「有職菓子御調進所老松(ゆうそくがしごちょうしんしょおいまつ) 」(以下、老松)。本店であるこちらの北野店は、まちの雰囲気に溶け込む店構えに老舗の風格が感じられます。

白い暖簾をくぐると、壁にかけられている芸舞妓さんの名前が入ったうちわが目に入り、ここが花街であることを実感! そしてさまざまな形に彫りこまれた木型もディスプレイされていました。これは「干菓子」というお菓子を作るための道具です。そしてショーケースには美しく繊細な生菓子が。季節を表した干菓子や生菓子は、お茶席に用いられることも多いのだそうです。

同店当主の家系は、平安時代の宮廷祭祀官(さいしかん)の流れをくみ、朝廷の儀式や典礼のほか、茶道に用いる菓子を代々手がけてきた家柄。そのため、京菓子の文化や、菓子そのものの文化を後世に伝えることも役割として掲げています。

そんな老松の菓子をご紹介します。粒あんをやわらかな落雁で包み、木型で押し固めて車輪の模様を施した「御所車」は、老松の代表菓。しっとりやさしい口当たりで、幅広い世代から人気があります。

また、菓子のルーツとされる果物を使った商品には、特に力を入れています。その一つが、毎年4月から初夏頃まで販売している「夏柑糖」。日本生まれの柑橘・夏みかんの果汁に寒天と砂糖を加え、夏みかんの皮の器に流し入れたもの。ほかにも、日本最古の柑橘類とされるヤマトタチバナを使った餅菓子など、日本発祥の果物を守ることを大切にしています。

さらに、伝統を守るだけではなく、新しい挑戦にも積極的。ドライフルーツを混ぜた白あんを粒あんで包み、そぼろ状の生地をつけて焼き上げた「香果餅(こうかもち)」は、中国の焼菓子・月餅を日本人向けにアレンジした商品です。

商品には、菓子の歴史や意味を説明したしおりが添えられています。「食べるだけではなく、その成り立ちを知ってほしい」という想いで菓子を作り続ける同店。京菓子の文化と共に、老松の菓子を味わってみませんか。


■老松 北野店
京都市上京区社家長屋町675-2
TEL.075-463-3050
営業時間 9:00~17:00
定休日 不定休
公式サイト